随意契約ガイドライン

 「上尾市随意契約ガイドライン」が公開された。ガイドラインは、朝日新聞掲載「キーワード」の解説によれば、「国や自治体などが関係者らが取り組むことが望ましいとされる指針や、基準となる目安などを示したもの。法的な拘束力はない。」とある。

 「上尾市随意契約ガイドライン」で気になった点を以下に記す。
§ガイドラインには、「政令第167条の・・・」とか「地方公営企業法施行令第21条の・・・」とかがやたら出てくる。であるなら、「関連法規」とでもして末尾に表記すべきではないか。建設工事だけでも年間1,000件以上の随意契約がある。一々法規を引っ張り出していては間尺に合わない。2~3年で異動する部課長の頭に入っているとはとうてい思えない。
 現に、さいたま市のガイドラインでは、最後に「8.関連法令等」として掲載されている。
地方公営企業法の適用を受ける発注機関については、政令第167条の2第1項 各号を、地方公営企業法施行令第21条の14第1項各号に読み替えるものとしま す。
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§随意契約できる予定価格が、地方自治法167条の金額以下としているが、「ブロック塀問題」を考えれば、上尾市独自の厳しい金額(工事・製造の例で云えば少なくとも
100万円以下)に設定すべきである。
契約の種類及び内容 予定価格(税込)          説明 
工事又は製造の請負 130万円以下 工事の請負⇒建設工事、建築物修繕など
製造の請負⇒印刷製本(地図作成など)、
緞帳製作など
財産の買入れ 80万円以下 不動産、動産の買入れ(地上権、特許権など
の無形財産を含む)
物件の借入 40万円以下 不動産、動産の借入れ⇒賃貸借、レンタル
など
財産の売払い 30万円以下 不動産、動産の売払い(地上権、特許権など
の無形財産を含む)
物件の貸付け 30万円以下 不動産、動産の貸付け
前各号に揚げるもの
以外のもの
50万円以下 役務の提供⇒測量・設計業務、清掃・警備
業務など

§随意契約の判別フローにある、「見積書:1者」の『「随契」に該当する旨を起案理由
に明記』とあるが、「見積書:2者以上」に対しても、業者選定の理由を明記すべきである。

§契約締結までの事務(4)契約の締結で、すべての契約について他部署の照査を受けることとすべきである。また「契約事務の手引き参照」とあるが、 どこにあるのか?。
(4)契約の締結
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なお、政令第167条の2第1項第1号の規定による随意契約の場合は、契約検査課長への合議は不要ですが、それ以外の随意契約については契約検査課長(契約 金額により総務部次長→総務部長(契約事務の手引き参照))への合議が必要です。

§公表について、全工事公表すべきである。また、公表時期も明記しなければ意味が無い。極端な話、時期不明では1年後かも知れない。
さいたま市では、四半期ごとの公表で、遅くとも3カ月後には公表されることになる。
〇公表対象
政令第167条の2第1項第1号から第9号の規定により随意契約としたもの。 ただし、第1号(予定価格が少額であるもの)は、工事の請負に限ります。

§ガイドラインには法的拘束力はないので、「上尾市契約規則」に「随意契約締結に於いては、『上尾市随意契約ガイドライン』を遵守すること」と明記、当然随意契約の金額も修正する。

 「上尾市随意契約ガイドライン」を読んで感じたことは、よく言えば「一通り纏められている」、悪く言えば「お座なり、意思が感じられない」。意思とは、”二度とブロック塀のような不祥事は起こさない、そのためのガイドラインを策定する”と言うことだ。

 「随意契約ガイドライン」は、単に指針や、基準となる目安だけではなく、「ブロック塀問題」などの不祥事を起こした上尾市にとっては、「法令(Law)」に次ぐ「基準(Standard)」となるべきものであることを、肝に銘じなければならない。

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コメント

No Subject

takao
小生もプリントして検討しましたが、既に検討結果が公表されていると、当記事を契約検査課に紹介しておきました。

takaoさま

はるか
お世話になっています。
私個人としての意見ですが、ガイドラインからは、当事者としての真摯な対応は見受けられなかった。他市を参照するのもいいけれど、二度と不祥事を起こさないという、上尾市独自のガイドラインを策定して欲しかった。望むべくも無かったか。

市長の姿勢に問題ありです

本好き
これが民間企業の経営企画部に相当する部署のレベルなのでしょう。
私は上尾に生まれ。転勤先に赴任していた以外、ずっと市政を観てきました。
就職時から、ずっと、コネ就職の裏金相場の噂話を聞いてきました。
このような職場に、まともな若者が就職先に選ぶとは思えないのです。
市長・議長ダブル逮捕は、幹部が、悪事を働く市長以下首脳陣に諫言できない、法令遵守の感覚ない連中ということを証明したのです。
縁故就職の職員を経営層から排除しない限り、この町は浄化できないと思います。優秀な学生も入りません。

進化できない業務能力

私役所
ナイス。引用書式がカッコイイですね。

『だから、さいたま市と合併すべきだった』
と、言われるわけだ。
合併反対したのは新井市長と自治労・組合だったから、既得権益者の劣化は必然なんだろう。

No Subject

本好き
駅前で「演説する」恐喝市長を見た記憶があります。
最低の市長でした。上尾の名前を残したいって。
十分に、悪い意味で、現在も残してくれてありがとう。
彩の会(元新政クラブ)の方、反省しなさい。
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